歯医者しか知らない道具いらずのストレス解消法

 誰もが「ストレス」という言葉を耳にしたことがあると思います。「ストレス」とは精神的・肉体的刺激によって、引き起こされる心身に生じる「ひずみ」のことです。ほとんどの大人はストレスは大人だけの問題であって、子供には関係ない問題と考えがちです。しかし、ストレスについて調べてみると私も驚いたのですが、子供も大人と同じようにストレスを感じていることがわかりました。

 ここでは、ストレスを受けるとどのような症状がでるのか、また、有効なストレス解消法について紹介しますので、参考にして健康的な生活を手に入れてください。

1.ストレスで出やすい症状

 ストレスがあると、全身に様々な症状が起きます。しかし、人によっては、自分にストレスがあることに気付いていない場合もあります。自覚がないと、なぜ自分が具合が悪いのかがわからず、内科、胃腸科、脳外科、精神科、耳鼻科、眼科、歯科などを受診し、様々な検査をしても異常が見つからなかったり、あるいは、薬を飲んでも一向に改善しないというような状況に陥りやすいようです。

1.頭痛

 頭をしめつけられるような頭痛がおこることがあるようです。また、うつ症状の1つとして頭痛を伴うこともあります。

2.吐き気

 ストレスにより胃酸が過剰に出てしまい、消化機能が不安定になってしまい吐き気が生じます。

3.うつ症状

 ストレスが自律神経を刺激し、その働きが乱れることで、心と体に様々な症状が出ます。

  1.辛い沈んだ気分 2.不安、あせり 3.消えてしまいたいという感情 4.興味の消失 5.喜びの消失 6.意欲の低下 7.自分を責める 8.会話や本などの内容が頭に入らない

 体 1.眠れなくなる 2.食欲がなくなる 3.疲労感、倦怠感をひどく感じる 4.動悸、息切れ 5.口が渇く 6.頭、肩、腰などの痛み 

2.ストレス解消法

 ストレスを抱えたままで生活していると、休息をとるようにと言う指令が脳に伝達されます。しかし、それでも休息をとらずに無理を続けていると物事に集中することができず、注意力の低下を引き起こします。そこで、我々は、すみやかにストレスを発散することが大切です。ストレス解消の方法には様々なものがあります。

 例えば、1.軽い運動 2.マッサージ 3.アロマセラピー 4.入浴 5.趣味を楽しむ 6.家族や友達に愚痴を聞いてもらう 7.深呼吸などです。

さらに、歯医者しか知らない道具いらずのストレス解消法は、歯ぎしりです。歯ぎしりの場合、ストレス解消になるからやってみようと思ってするものではありません。実はほとんどの人が、ほぼ毎日、歯ぎしりをしています。ただそれを自覚していないだけなのです。

1.子供の歯ぎしり

 まず、子供の歯ぎしりについて紹介します。子供もストレスを感じているというお話をしたと思います。例えば、保育園や幼稚園へ通園するようになった3歳児は、朝起きた時からストレスを感じているようです。何の予定もなければ、好きなだけ寝ていられるかもしれません。しかし、親が仕事へ行く時間に合わせて、保育園へ行かなければなりません。一方、幼稚園へ着くべき時間も決められていますから、朝食を急がされることもあるでしょう。そして、保育園や幼稚園では、気の合わない友達もいるでしょうし、様々な生活のルールを習い、それに従わなくてはなりません。大人が仕事をするのと同じように、1日のスケジュールをこなしていくわけです。お腹が空いていなくても、昼食の時間は決められているわけです。

 また、好き嫌いが多い子供の場合、苦手な食べ物にも挑戦するように勧められることもあるでしょう。家では絶対に食べない物も、勇気を出して口に運ぶこともあることもあると思います。遊びの時間であっても、1つしかないおもちゃは譲り合って、使うことも必要でしょうし、使いたくても譲ってくれないような、ちょっと意地悪な友達もきっといると思います。自宅であれば、眠くなった時がお昼寝タイムなわけですが、保育園では、お昼寝タイムが決められており、自分勝手な行動はできません。そして、夕方になり疲れてきて、帰りたいと思ったとしてもお迎えがなければ、勝手に帰るわけにはいかないわけです。というわけで、子供達もストレスを感じながらも頑張っているわけです

 さて、そんな子供たちが眠り始めて少し経つと歯ぎしりを始めます。ギリギリと大きな音をたてるタイプの歯ぎしりをする子供もいますが、音もたてず噛みしめるタイプの歯ぎしりをする子供もいます。たまに、この歯ぎしりを悪い物と勘違いして、相談に来る親御さんもいます。しかし、この歯ぎしりはストレス発散のためにしているわけですから、やめさせる必要はありません。就学前検診で子供の歯を見る機会があるのですが、ほぼ全員の乳歯は歯ぎしりによってすり減り、平らになっています。これは正常な状態です。子供によっては、この歯ぎしりが何らかの原因で上手くできず、ストレス性の脱毛症になってしまうことさえあります。

2.大人の歯ぎしり

 大人についても同じことが起こっています。自覚がなくても、ほぼ全員が歯ぎしりをしています。

ブラックスチェッカー歯ぎしりを調べるブラックスチェッカーという薄いフィルムを歯に付けて調べてみると、昼間も強く噛みしめるタイプの歯ぎしりをしていることがわかりました。

皆、誰に教わらなくても歯ぎしりによって、ストレス発散しているわけです。特に睡眠時の歯ぎしりは体重よりも大きな力でしていることがわかっています。場合によっては、差し歯がその強い力で壊れてしまったり、虫歯でもないのに歯がグラグラになってしまうこともあります。

 

歯ぎしりでストレス発散できるということは、動物実験では証明されている事実です。むしろ、歯ぎしりできないような状況になってしまっている人は大問題です。

 

3.まとめ

 

 歯ぎしりをすることは、一般的には悪者扱いされることが多いですが、それは誤った認識です。

人間の自然なストレス解消法の一つとして歯ぎしりが行われているのです。

歯ぎしりは、様々なストレスを解消するためには有効な方法ですが、スムーズに歯ぎしりできないような状況は却ってストレスになるのです。

機能的な噛み合わせはストレスを解消するためにもとても重要です。良い噛み合わせとは機能的な噛み合わせです。

矯正治療や噛み合わせ治療の際には見た目の美しさも大切ですが、ストレスなく歯ぎしりできるような噛み合わせ治療を受けていただきたいと思います。

 

 

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