犬歯が正しい位置に生えずに、八重歯になってしまう子供は、約15%いると言われています。犬歯が生えてくる10〜12歳頃に歯科医から、「八重歯にしないためには犬歯を抜いた方が良い」とすすめられて、「えー抜いてしまっていいの?」と悩んでいませんか?
ここでは、犬歯の役割とともに、犬歯を抜くとどんな悪影響があるのかについて、説明しますので、参考にしてください。
目次
1.犬歯の役割
1.食べ物を切り裂く
犬歯は他のどの歯よりも尖っていて、糸切り歯とも呼ばれているように糸を切ったり、食べ物を切り裂くという働きがあります。
2.発音を助ける
犬歯は前歯の一部ですから、くちびるや舌と共に発音を助ける役割があります。犬歯を含む前歯が全てそろうことで、始めて発音が明瞭になります。
3.自然な表情を作る
犬歯は前歯の一部として、顔の形を整え、自然な表情を作るのに役立ちます。
4.横方向への強い力を支える
食べ物を噛み砕く時には、あごを①上下に動かしたり、②横(左右)に動かしたりします。あごを横にずらした時には、犬歯で強い力を受けて、前歯と奥歯を守ります。
5.噛み合わせの位置を安定させる
犬歯は犬歯のとなりの歯(第一小臼歯)と共に、あごの噛み合わせの位置を決定し、安定させるという役目があります。
2.犬歯を抜くとどうなるか
1.切歯で食べ物を切り裂くことになる
最も尖った犬歯が抜かれてしまうと、代わりに前歯の中切歯や側切歯で切り裂くしかありません。しかし、犬歯のようには上手く切り裂けません。
2.発音が不明瞭になる
犬歯を抜いてしまうと、前歯のアーチの形が変わってしまい、発音がしにくくなることがあります。特にサ行が不明瞭になりやすいです。
3.表情が老けて見える
犬歯は前歯の一部ですので、犬歯を抜いてしまうと、歯茎がくぼみます。健康的な口元を作れなくなると、顔の輪郭も変わり、表情が老けて見えたりします。
4.あごの横方向の動きが上手く行かなくなる
犬歯を抜いてしまうと、あごの横方向の動きが上手くできなくなります。そうなると、前歯や奥歯に大きな負担がかかり、虫歯でもないのに前歯や奥歯がグラグラになったり、痛みを感じるようになることがあります。
5.噛み合わせの位置が不安定になる
犬歯を抜いてしまうと、噛み合わせの位置が不安定になり、あごの位置も不安定になります。そうなってしまうと、あごの関節でカクカク・ポキポキといった音がしたり、痛みを感じるようになります。
3.まとめ
犬歯には重要な役割がたくさんあります。また、犬歯は最も根が長く、強い歯であり、虫歯にもなりにくく、80歳になっても残っていることが多い歯です。そのような貴重な歯を安易に抜いてしまうのは、とても残念です。
もし、すぐに矯正しなかったとしても、犬歯を抜かずにおいていただければ、大人になってからでも八重歯を治し、スムーズなあごの動きができるようにすることができます。しかし、犬歯を抜くと、噛む位置が不安定になり、年齢を重ねるにつれ、顎関節症へ移行したり、負担過重な前歯や奥歯がダメになってしまう可能性がとても高くなります。安易に犬歯を抜かないでいただきたいと思います。
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