出っ歯の治療を開始する時期と治療法

矯正治療と女の子

 「出っ歯」は見た目の問題だけでなく、口が閉じにくいことによって口の中が乾燥し、虫歯や歯周病を引き起こしやすく、子供でも口臭がひどくなることがあります。乳歯の時期には、気づかなかったのに永久歯の前歯が生えてきたら、出っ歯になってしまって、いつ治療すべきかと慌てていませんか?

 ここでは、どういう時期にどんな治療をすべきかを紹介しますので、参考にしてください。

1.子供の出っ歯

1.乳歯の時期(2歳半〜5歳半頃)

 乳歯の時期に矯正治療する場合は、お子さん、それぞれにいつが良い時期かを見極める必要があります。早く始めれば良いというものではありません。

 本来、永久歯になった時に出っ歯でなく、正しい噛み合わせができていることが治療目標ですので、成長発育に個人差がある乳歯の時期に、お子さんの意志を無視して矯正治療を始めても良いことは何もありません。

 ただ、4歳から5歳半の時期に、お子さんが矯正するということについて理解し、協力が得られるようであれば、口の周りの筋肉の訓練も兼ねてT4K、マルチファミリーなどの取り外し可能な装置を使ってもらいます。また同時に、舌や口の周りの筋肉のトレーニングもしていきます。

 

 

2.永久歯の前歯が生えた時期 

                                   

 6歳頃に、永久歯の前歯が生えた後に出っ歯を気にして相談に来られる方が多いようです。

 この時期は、取り外し可能な装置も使いますが、前歯と共に6歳臼歯という大きな奥歯も生えてきていますので、その歯の含めて上の6本の永久歯にブラケットを着けて、矯正した方が効果的です。治療のポイントは出っ歯という前後的な問題を治すために、噛み合わせの高さも改善することです。

子供の出っ歯の矯正治療

 

2.永久歯がそろっている時期(12歳頃〜大人)

 永久歯が生えそろっていれば、いつでも矯正治療が開始できる時期です。治療法は、ブラケットという装置を歯に付けて歯を動かす治療です。

1.矯正治療のみで出っ歯を治す場合

 虫歯や虫歯の治療済の歯がほとんどない健康な状態であれば、矯正治療のみで出っ歯を治すことができます。

出っ歯の矯正治療 術前・術後

2.矯正治療と補てつ治療(セラミック素材の被せ物などで歯の修復をする)のコンビネーション治療

 虫歯が多かったり、虫歯の治療済の歯が多い場合は補てつ治療を組み合わせた治療になります。コンビネーション治療によって、矯正治療期間を短くすることも可能です。特に大人の方にはしばしば行われます。白い歯にすることもできますので、審美的にも満足してもらえるはずです。

矯正後の前歯の補綴治療

3.出っ歯の治療で注意すべきこと

1.あごの関節の状態を調べる

 出っ歯だからと、不用意に前歯を引っ込めてしまうと下の顎が後退しすぎてしまい、あごの関節に負担がかかってしまうことがあります。矯正治療後すぐにあご関節に問題が起こるわけではなく、数年から10年以上かけて、あご関節に不調が現れることがありますので、注意が必要です。

2.上あごが出ているのか、下あごが後退しているのかを見極める必要がある

 「出っ歯」といっても、①上あごが前に出ている出っ歯と、②上あごの位置は悪くないが、下あごが後退し過ぎている出っ歯があります。

鳥貌

 ②の場合は、噛み合わせを高くして、下のあごが前方で噛めるように誘導しなければなりません。しかし、下あごの位置を改善せずに、ただ上顎の前歯を引っ込めてしまうと口元は引っ込み過ぎてしまいます。下のあごは後退したままの状態なので、寂しい口元になりがちです。そのため、鳥貌(下のあごが後退した鳥のような横顔)は改善しません。そうすると下あごが自由に動かせないことで、苦しさを感じる方もいるようです。

 

3. 噛み合わせが深くなり過ぎてしまうことがある 

正しいかみあわせ理想的な噛み合わせは上下の歯が噛み合うと下の歯も見えます。

 抜歯矯正が引き起こす深すぎる噛み合わせ抜歯をして矯正すると、前歯の噛み合わせが深くなり過ぎてしまうことがあります。それによって、噛みしめる力が強すぎることで歯が割れてしまったり、歯周病や首、肩こり、あるいは頭痛に悩まされてしまうこともありますので注意が必要です。 

4.まとめ

 「出っ歯」という言葉に惑わされないでください。上あごの位置には問題がなく、下あごが後退している「出っ歯」もあるのです。

  出っ歯の治療は、大人になる前に始めた方が有利であることは事実です。ただし、患者さんの協力がなければ、上手くいきませんので、お子さんの場合は、意思の確認をせずに治療を開始したりしないでください。まずは、定期的に歯科を受診してもらい、お子さんに治療の必要性や治療法について理解してもらった後に、治療を開始すべきです。