埋伏歯とは?/ その原因と治療法

 「埋伏歯」とは、歯が生える時期を過ぎても生えてこないで、歯茎の下やあごの骨の中に埋まっている歯のことです。1歯または数歯の場合と複数歯が埋伏しているものまでさまざまです。最も多いのは、親知らずの埋伏です。 ここでは、その原因と治療法について紹介します。

1.埋伏歯の原因

1.歯胚の位置異常

 生まれつき歯胚がある位置に異常があると、上手く生えることができずに埋伏することになります。

2.あごの骨の成長不足

 歯が並ぶあごの骨の成長が悪いと、スペース不足により歯が上手く生えることができずに埋伏することになります。

3.過剰歯

 乳歯は20本、永久歯は32本ありますが、更に多くの歯がある場合があります(過剰歯)。萌出方向の問題やスペース不足で埋伏してしまうことが多いです。上顎の正中部によくみられます。

4.のう胞

 のう胞があると歯が生えるのが妨げられ、歯の向きがが変化してしまい、埋伏してしまうことがあります。

2.埋伏歯の治療法

 埋伏歯は、その位置あるいは萌出方向の異常を伴うことが多いため、埋伏歯の周りの歯の歯根吸収を引き起こしてしまうこともあります。そこで、レントゲン写真で埋伏歯があることが確認された場合は放置しないでください。

1.歯胚の位置異常がある場合の治療

 歯胚の位置異常がある場合は、レントゲン写真やCT画像で位置や形態を確認し、歯肉(骨の中にある場合は骨を削る)を切開して、埋伏歯に小さなボタン状の装置を接着し、矯正的手段で引っ張りだします。これには数ケ月から1年程かかります。時間や手間はかかりますが、できるだけ抜いてしまわずにその歯を使えるようにすることが重要です。

2.あごの骨の成長不足がある場合の治療

 まず、拡大装置などを用いて歯列弓を拡大します。そして、埋伏歯が生える場所を作ります。スペースができれば、自然に埋伏していた歯が生えてくることもあります。しかし、埋伏歯の方向に問題がある場合には、矯正的手段で引き出す必要があります。

 また、親知らずが埋伏している場合は抜歯することが多いです。特に、歯の一部が埋伏しているような場合(半埋伏歯)は、上手く歯みがきができていないことにより、細菌感染を生じやすく、埋伏歯の周囲の歯肉やあごの骨に炎症を起こしてしまうことがよくありますので、注意が必要です。

3.過剰歯の場合の治療

 過剰歯は通常の萌出方向とは真逆の方向を向いて埋伏していることがあります。そのままでは自然に生えてくることはまずありませんので、すみやかに抜歯する必要があります。

4.のう胞がある場合の治療

 のう胞があることが、レントゲン写真などで確認された場合は、のう胞を摘出することを優先的に行います。摘出後には埋伏歯が自然に生えてくることもあります。ただ、萌出方向に問題がある場合は、のう胞を摘出する時に同時に埋伏歯に小さなボタン状の装置を接着し、矯正的手段で埋伏歯をけん引します。また、のう胞は歯が原因のものもあります。歯が原因であれば、その歯を含めてのう胞を摘出することになります。

 小児期に片方の永久歯が生えてきたのに、もう一方の歯がなかなか生えてこない場合などは、念のためレントゲン写真を撮って、のう胞ができていないか確認することをおすすめします。

3.まとめ

 「埋伏歯」は様々な原因で生えてこられないで、埋まってしまっている歯です。従って、気づきにくいという問題があります。また、気づいたとしても痛みなどの自覚症状がないことで、放置されてしまいがちです。永久歯に生え代わる時期には、左右の歯が時期的にあまり差がなく、生え代わっているかを注意してみる必要があります。埋伏歯がある場合はその原因を調べた上で、治療を選択することをおすすめします。また、治療法はいろいろありますので、歯科で相談してください。  

 

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