矯正したのに「後戻り」してしまい、何が原因かと悩んでいませんか? ここでは、「後戻り」はなぜ起こるのかと「後戻り」の防止のためにすべきことについて紹介します。「後戻り」がそれ以上進行しないように参考にしてください。
目次
1.後戻りとは
「後戻り」とは矯正治療後に歯並びに起こる変化です。矯正治療直後の歯並びは不安定で歯はグラグラしています。そこで、保定装置を使い、歯が安定するのを待ちます。しかし、様々な原因により歯並びが安定せずに元に戻ってしまうことがあります。それが、「後戻り」です。
しかし、 10年単位の加齢に伴う歯並びの変化は、矯正治療しない場合にも誰にでも起こる事です。
2.後戻りが起こる6つの原因
1.保定装置
保定装置の装着時間が短い、あるいは装着していなかった場合。矯正治療直後の歯は、簡単に動いてしまいます。
2.親知らず
10代前半で矯正治療をした場合は、親知らずはまだ小さく萌出もしていません。しかし、18歳前後には、歯根まで出来上がり萌出力が周りの歯を押し出すなどして、後戻りの大きな原因となる場合が多いです。
3.口の周りの悪習慣や癖
矯正治療と同時進行で、MFT(筋機能療法)という口の周りの筋肉や舌の使い方の訓練をして、癖や悪習慣を排除する必要がありますが、悪習慣や癖が残っているとあっという間に後戻りしてしまうことがあります。
4.捻転が強い歯
歯の回転(捻転)がひどい場合、歯の周りの組織の繊維によって、保定装置を入れていても、元の歯の位置に戻されてしまうことがあります。
5.歯ぎしり
歯ぎしりによる強い咬合力が加わると、後戻りが引き起こされることもあります。
6.不充分な矯正治療
矯正治療が何らかの理由で不充分な場合、後戻りは容易に起こると考えられます。小臼歯抜歯をして矯正すれば後戻りしないと勘違いしている方もいらっしゃるようですが、それは間違いです。
3.後戻りの防止策
1.保定装置を適切な時間着ける
保定装置には固定式と可撤式があります。
固定式とは歯の裏側にワイヤーを接着剤で固定するもので、自分では外せないので、サボることはできませんが、フロスを使えないため、虫歯のリスクが高いという欠点があります。
また、可撤式には、マウスピースタイプ(左)と床タイプ(右)があります。自分で取り外しができるので、食事や歯磨きの際には便利です。
しかし、装着時間の自己管理が難しいという欠点もあります。
2.口の周りの悪習慣や癖をやめる
頬杖、うつ伏せ寝、舌の癖、唇の癖、口呼吸などの悪習慣や癖が残っていると、矯正治療で治った歯並びが安定せずに、後戻りしてしまいがちです。
3.親知らずは生えてこなくても抜く
あまり知られていない事ですが、親知らずが方向や位置に問題なく生えて、きちんと噛み合わせができている人はほとんどいません。矯正治療しない場合は、たいてい18歳前後に何らかの問題が起きて、抜くことになります。また、矯正治療をする場合は、大人であれば、親知らずを抜いた後に矯正治療します。しかし、問題になるのは、10代前半に矯正治療を終え、その後、親知らずをそのままにしてしまい、徐々に大きくなった親知らずが他の歯を押し出し後戻りを引き起こしてしまう場合です。
3.まとめ
①保定装置を着ける②口の周りの悪習慣と癖をやめる③親知らずは時期を見て抜く。これらを守れば、矯正の後戻りは防ぐことが可能です。矯正装置をはずすと、その開放感からか、保定装置を着けずに過ごしてしまう方もいらっしゃいますので、保定までが矯正治療であると認識してください。また、悪習慣や癖は、そう簡単に治るものではありません。自分では気づかないこともありますので、充分注意してください。そして、親知らずの抜歯に関しては、大変かと思いますが、矯正治療後の噛み合わせの安定にはとても重要ですので、辛抱して抜歯してください。この3つを守れば、大きな後戻りはありませんから、安心して矯正治療に挑戦していただけるはずです。
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