子供の親知らず:下の親知らずの早期抜歯の最適な時期と方法

 「子供には親知らずは関係ない」と思っていませんか? 実は口の中に生えてこなくても、親知らずは6歳頃からあごの骨の中で作られています。

 ここでは、親知らずのでき方や歯医者にもあまり知られていない、子供の楽な親知らずの抜歯について、その良い時期や抜歯の方法を紹介します。

1.親知らずのでき方

親知らずの発達①下の親知らずは5歳頃に下顎骨の表面にでき始めます。ただこのでき始めの親知らずはレントゲン写真にはまだ写りません。         

②7歳〜9歳頃の親知らずは、レントゲン写真では黒く抜けているように見えます。やわらかいグミのような状態です。

 

③8歳〜10歳頃の親知らずは、レントゲン写真に白く、口に生えている歯と同じように写ります。

 

④12歳頃には、第二大臼歯(12歳臼歯)が生えてきます。その頃には第二大臼歯の周囲の骨や下顎骨が発育するため、親知らずは相対的に下の方に埋まってしまうような状態になります。

 

親知らずのパントモ写真

⑤17歳頃には、親知らずは骨の中で根の部分までできあがります。

 

 

2.親知らずを放っておくと起こる問題

 ①親知らずが自然に良い位置に、そして良い方向に生えることは、めったにありません。そこで最も多いのは、親知らずの一部が12歳臼歯に引っかかるように生えてくる状態です。そうなると食べかすが詰まったり、きれいに歯が磨けないことで歯肉が腫れたり、虫歯になってしまうことがあります。これが智歯周囲炎です。

 ②親知らずがスペース不足などの理由で生えてこないで埋まったままであると、そこにのう胞ができてしまうことがあります。

 ③方向が悪くて埋まってしまった親知らずが、12歳臼歯の歯根を吸収してしまうことがあります。レントゲン写真でしかわからないために手遅れになり、虫歯でもないなに12歳臼歯を抜かざるを得ない場合もあります。

 ④親知らずの萌出力が大きいため、12歳臼歯などが押し出されてしまったり、もともときれいに並んでいた前歯がガタガタになってしまったりします。          大人の歯のエックス線写真                     

3.親知らずを抜くのに適した時期

 下の親知らずの歯胚が作られるのは、6歳から12歳頃ですので、歯胚が硬くならない(レントゲン写真で黒色)時期が、お子さんにとって最も楽に抜けます。親知らずのでき始める時期に個人差がありますが、だいたい7歳から10歳頃です。

 レントゲン写真で白く写る場合は、すでに石灰化が進んでいますので徐々に抜くのに時間がかかるようになってきます。

 そこで、半年に1度はレントゲン写真を撮って、親知らずのでき方をチェックしておくことをおすすめします。

 

4.下の親知らずの早期抜去法(Germectomy)

 親知らずの早期抜歯 ①第一大臼歯(6歳臼歯)の後ろ部分に麻酔をします。

 ②第一大臼歯の後ろのやや頬寄りに約1cm切開します。

 ③歯肉をはがして親知らずを露出させます。

 ④抜くというよりは、小さなスプーン状の器具で取り出します。取り出した親知らずは、グミ状の組織と時期により薄いエナメル質です。

 ⑤1~2針縫合して終わりです。5~10分で全て終わりますし、傷も小さいことから、術後の腫れや痛みもかなり軽度ですみます。

 

 

5.まとめ

 親知らずのことを意識するのは、何らかの問題が起きた後の20歳前後かと思います。しかし、下の親知らずが良い状態で生えて、上の親知らずときちんと噛むというのは稀なことですので、6歳頃になったら、①親知らずの有無、②親知らずの大きさや形、③方向などをレントゲン写真で確認しておくと良いでしょう。

 そして、矯正治療を計画している場合は、できれば7歳から10歳頃にGermectomyという方法で親知らずを早期に抜くことがお子さんにとっては、楽です。歯医者にもあまり知られていない、この早期の親知らずの抜歯ではありますが、大人になって親知らずのトラブルで苦労した親御さんであれば、きっとご理解いただけると思います。